スペインサッカー挑戦記~ED (Moratalazモラタラス)・日本とスペインのサッカーの違いについて~
こんにちは!
体作りプロジェクト協会所属の鳥山蒼空のスペインサッカー挑戦記2回目は、活動に参加させて頂くスペインのサッカーチーム『ED Moratalaz(モラタラス)』についてです。
【ED Moratalazについて】
2006年設立された若いチームですが、レアルマドリードとの提携育成クラブとして、レアルマドリードと同様のメソッドで各年代の指導に力を入れているチームだそうです。
元バルセロナで活躍した元スペイン代表の選手が育成年代の監督になるなど、どのような指導をされているのか気になることが多いチームです。
【日本とスペインのサッカー環境の違い】
日本の子供たちのサッカー環境は、Jリーグの下部組織、そして高校の強豪サッカー部が注目を集めます。
しかし、世界に目を向けると日本のようなクラブチームと部活が分離しているサッカー環境は珍しいです。
世界に出て、有名強豪高校のサッカー部に所属していたことはネームバリューにはなりません。
日本国内でしか価値のないものなのですね。
このように世界のサッカーの市場に、日本の有名強豪校のサッカー部は通用しないのが現実なのです。
しかし、『スペイン4部の〇〇FC所属』となると話は別で、強豪国の4部から日本のJリーグに移籍される方も出てきており、世界のサッカーの市場としては日本の強豪校の部活に所属するより、 世界のサッカーリーグに出た方が評価しやすくなるそうです。
簡単に書きましたが、このように日本から見ているサッカーと世界から見るサッカーには、たくさんの違いがあるのです。
では、日本とスペインのサッカー環境の違いについて少し詳しくお伝えします。
まず日本は?
⚽サッカーチームは、小学生では地域チームの少年団、クラブチーム、部活のいずれかに所属します。※部活があるところは小学校では少数ではないかと思います。
中学生、高校生では、クラブチームか部活に所属することになります。
⚽部活とクラブチームではリーグ戦が分かれているため、当たることがあまりありません。
⚽チームの所属人数により、A~DやE、またはそれ以上まで分けられている場合があります。
サッカー強豪校になると200人から300人になるチームもあるので、そうするとさらに分けられています。
このように、小学生、中学生、高校生で大きく分けるとクラブチームと部活に分けられ、それぞれがリーグ戦や大会を行っています。
大所帯のチームだと試合に出る事ができない子も多く存在することが現状です。
ではスペインは?
⚽サッカーチームは、子供も大人もクラブチームがほとんどです。
指導の勉強をされた方が監督やコーチをされます。
⚽年代でカテゴリー分けされている。
・8~9歳・・・Benjamin(ベンハミン)
・10~11歳・・・Alevin(アレビン)
・12~13歳・・・Infantile(インファンティル)
・14~15歳・・・Cadete(カデーナ)
・16~18歳・・・Juvenil(フベニール)
カテゴリーに1チームではなく、どこのチームにも各カテゴリーで数チーム作っており、リーグのレベルは自分の能力に合わせてチームに入ることができます。
日本のように1チームに人数が集中し試合に出られない子を作らないため、レベルと人数をしっかり分けて自分のレベルに合ったチームに所属することで、試合に出られるようにしています。
⚽子供であろうとコーチの指示や指導がわからないと議論する。
スペインでは、練習メニューや戦術、ポジションなど子供であろうと納得いかなければ監督やコーチに説明を求めます。
自分の意見をしっかりと持ち、大人に伝えるのです。
そして、素晴らしいのが、監督やコーチは子供たちが納得できるように説明をします。
それができない監督は子供や保護者の信頼を得られないため解任されるそうです。
だからこそ、スペインでは監督やコーチは子供たちにもわかりやすく指導をするためのスキルが求められます。
⚽チーム活動ではコーンドリブルやリフティングなどの技術練習はあまりやらない。
スペインでは日本で主流のコーンドリブルやリフティングなどのテクニックを磨く練習は1、2割で、練習の8~9割は戦術的な練習です。
チームでしかできない戦術的な指導のできる、試合に近い形での指導が主だそうです。
ある意味一人でもできるコーンドリブルやリフティングは、チーム活動でみんなが揃っている時にやるのはもったいないと考えるのかもしれませんね。
スペインではの主な練習は、動き方、スペースの使い方、相手のひきつけ方、幅と深さの作り方と使い方などです。※一部を抜粋
スペインでプレーをすると、『日本人は戦術的な理解が低い』とスペインの方は見るそうですが、上記のような戦術的な練習を積み重ねているスペインの人から見ると、そう見えるのは納得できます。
これらのことから、日本とスペインのサッカーの大きな違いは、
日本のサッカー=技術の練習
スペインのサッカー=戦術的な指導
このようにみていくと、技術だけではサッカーはできないことがわかります。
元日本代表の内田篤人選手が引退後におっしゃっていましたが、『日本と世界との差は広がっている』という発言には、実際に海外のサッカーに触れて感じた日本のサッカーの限界を肌で感じたのではないかと思います。
問題発言のように捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、海外でプレーをする多くの方、コーチングを勉強され海外で指導に携わっている多くの方が感じていることのようです。
戦術的な指導を長い時間積み重ねているからこそ、スペインの高いレベルのサッカーになっていることを考えると、戦術的な指導をなかなか受けられない日本のサッカーの環境では、世界の強豪国に近づくのはまだまだ先の話しなのかもしれません。
日本とスペインのサッカーの違いをざっくりとお伝えしましたがいかがだったでしょうか?
日本から見る世界のサッカー、そして世界から見る日本のサッカーでは見える世界が違っていることに気が付いて頂いた方もいらっしゃると思います。
自分のことは一番わからないように、日本にいたら見えてこないことも多いのだと思います。
日本では当たり前とされているサッカー環境がありますが、それは世界から見たら“当たり前でない”ことも多くあります。
そこに気が付いたからこそ見えてくものもあると思います。
そんな日本の当たり前を一つづつ見直し、世界のサッカーの良い所をマネすることで良くなる未来もあるかと思います。
現在プロのサッカー選手に限らず多くの方が世界に挑戦する機会ができています。
世界に出て日本と世界のサッカーの違いを肌で感じ、世界のフィールドで経験を積む方が増えている現状があるため、これから日本のサッカー界は本当の変革の時を迎えるタイミングなんだと思います。
小さな力が繋がり大きな力になり、子供のたちのサッカーを取り巻く環境がより良くなるような情報を発信していきたいと思います!
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